航空券のみ購入して一人で香港、マカオに行ってきました。なんとかなるさ、なんて言いながらも内心は結構ビクビクしていました。が、案外なんとかなるもんなんですねやっぱり。そんな香港九日間の旅を少しまとめておきます。

9月1日
朝5時くらいに起きて前日にまとめたリュックサックかついで関空特急はるかで関空へ。まだ夜は明けてなかった。Tシャツ二枚、タンクトップ何枚か、半袖二枚、長袖二枚、あとパンツとか靴下とか、必要最低限の物しか詰め込まなかったけどぱんぱん、案外重い。関空に着いて免税店で煙草を1カートン購入。2000円。安い。台風が心配だったけどなんとか定刻通りに飛行機は飛んだ。台湾と香港の間くらいで台風を通過。ものすごく揺れる。JALだけに少し心配になる。機内で『皇帝ペンギン』を見る。機内の小さな画面で見るもんじゃないなあれは。
香港到着。香港っても香港本島ではなく少しはずれにある島に空港はある。広東語の嵐。何を言ってるかサッパリ理解出来ず。ネイザンロードに行きたいのだけどどのバスに乗っていいのかわからず、案内所で聞く。空港から繁華街まで市バスみたいので33HK$。40HK$支払うがお釣もらえず。そうゆう国らしい。タクシーと地下鉄以外はお釣が貰えないみたい。ちなみに1HK$は日本円で大体14〜15円くらい。
ネイザンロードのヤウマテイに到着。とりあえず宿の確保。初日は日本人が経営してるゴダイゴゲストハウスに泊まる。ドミトリー。一泊90HK$。トイレシャワーは共同。悪く無い。ただエアコンが殺人的に強い。先に宿泊してた日本人何人かに挨拶。香港のみに滞在する予定の人、陸路でインドまで行こうとしてる人、中国本土の雲南省にある大学に留学してる院生等等。色んな人がいる。とりあえず荷物を置いてネイザンロードを行ったり来たり。アホみたいに積み上げられたビルや昼間でも光ってるネオンを見上げながらぶらぶら。最初は地図を見なきゃ何も出来なかったけどだんだん馴れてくる。ネイザンロードは縦に伸びている大きな通りで基本的にはその通りをうろうろ。少し脇に入ったりビクトリア湾まで行ってみたり。特に目的も無いのだけどこの通りは歩いているだけで楽しい。結局ウロウロするだけでこの日は終わる。夜に同じ部屋の院生に中国のことを色々聞いてみる。本当に抗日の動きは強いのか、とか中国では何が流行っているのか、とかとか。ちなみに香港ではガンダムが人気みたい。あと殆どの人が携帯電話を持ってて四六時中誰かと話してる。日本みたいにあんまりメールとかするひとは少ないみたい。しかも通話はハンズフリーのイヤホンを使ってる。そのせいでパッと見独り言を言ってるように見えてなんだか異様。実際に独り言呟きながら歩いてる人も居たのだけど。

9月2日
この日は九龍城跡に行ってみる。地下鉄を使う。香港の地下鉄のエスカレーターは妙に早い。地下鉄の中でも携帯電話を使ってる人が多い。そんなに話すことあんのかね。地下鉄の中も殺人的なエアコン。寒い。ロクフー(てな名前だったような)方面へ。住宅街って感じ。学校が多い。香港の学校の制服はこっちではコスプレ風俗でしか見ないような制服を着てる。白のセーラー服とか、水色のセーラー服とか。たまーに制服でお洒落してます、みたいな女の子も居たり。あと基本的に香港の女の子は綺麗。目鼻立ちがくっきりしている。そんな女の子らを横目で見つつ九龍城跡公園に到着。期待してたのだけど何も無くてがっかり。しょうがないのであたりをぷらぷら。思い出してみると香港滞在9日間ほとんどぷらぷらしていたような。夕方くらいに一度宿に戻って寝て、そのあとまたネイザンロードをぷらぷら。ヤウマテイ中心。廟街が熱っぽくて気に入る。意味も無く行ったり来たり。案外楽しい。夜少しビールを飲む。お酒は高い、と聞いていたけれどそんなことはなくて、寧ろ二本よりも安いくらい。

9月3日
ゴダイゴゲストハウスをあとにし、チムサッチョイの駅の近くにあるチョンキンマンション内にあるウェルカムゲストハウスへ。ここからまったく日本語の通じない世界へ突入。片言の英語で部屋を見せてもらってシングルに泊まることにする。一泊150HK$。テレビ冷蔵庫トイレシャワー付き。内装もそこまで汚いわけではない、けど工事の音が少しうるさい。まぁ騒音には慣れっこだからあんまり気にならなかったけど。この日から体調が悪くなる。恐らく40度近い熱が出てたのではないか。発汗、寒気、頭痛。このまま死ぬのではないかと本気で心配する。とりあえず寝ることにする。テレビがあって助かった。サムライジャックとかゆーアニメを見る。ジャックは少し頭が悪いのだけど彼の日本刀の腕と切れ味は凄まじい。英語だったけれど影像だけである程度の話の筋は掴める。あとTeenTitansとかゆーのも見る。超能力を持った4人組の勧善懲悪の分かりやすいアニメ。退屈しのぎには丁度良い感じ。寝たり起きたりを繰り返す。

9月4日
体調良くならず。この日も寝て起きてを繰り返す。病院に行けばいいのに、と思うかもしれないけれどこの日は日曜日。前日に引き続いて部屋に篭る。何か食べなければと思ってふらふら足取りで屋台街へ。ハイフォンロード。店のおっさんに誘われるまま席に着いてワンタンメン。12HK$。香港の食べ物はなかなか自分にあってなかったみたいだけどこれはなんとか食べれた。というか寧ろ美味かった。調子こいて炒飯も頼んでみたけどご飯一合半くらいでてきて萎える。しょうがなく残して帰る。

9月5日
幾分か体調がマシになったので病院へ。病院は香港本島(ちなみに今まではずっと九龍サイドのほうに居ました)のハッピーバレーにある。結構遠い。地下鉄とトラム(二階建て路面電車のこと。なかなか面白い乗り物。料金は一律2HK$)とタクシーを使って病院へ。病院には日本語の分かる人が居て助かった。先生に診てもらうと病名は扁桃腺炎のとこと。通りで喉が痛かったわけだ。先生に入院を勧められる。まぁ仕方ねぇかなぁと思いつつ入院すると告げる。ゲストハウスに戻って荷物を整理している時にふと思う。『まてよ、このまま入院したら香港入院体験旅行じゃないか』と。病院に電話して入院を取り消してもらって、薬をもらって注射を打ってもらうだけにする。で、また病院に行く。注射。まさか香港で注射を打つことになるとは。どこに打つのかと聞いてみると『ケツに打つのよ』と看護婦さん。なんだか楽しそう。まさか香港で見知らぬ看護婦にケツに注射を打たれるとは。ここまでくるともうネタじゃねーか、と少し楽しくなってくる。看護婦さんは『ナシーキサーン』とか『チョトイタイ』とか『ダイジョブダイジョブ』とか日本語を喋ってる。終止笑顔。なんだかなぁ。注射を打つ瞬間に看護婦さんが『エイッ』だったか『ヤッ』だったかなんだか掛け声をかけてた。笑ってしまう。案外痛くない。結構ビビってたのですが。打ち終わったあとに英語で『あなただから痛くしなかったのよ』と。思わず『グッジョブ』と言ってしまう。神業でした。
注射を打ってもらうと身体が凄く楽になった。ハイテンションになる。そのまま香港本島をうろつく。セントラルは高層ビルがたくさんあってくらくらする。九龍サイドとは違って香港本島はかなり都会。都会過ぎてあんまり面白くない。自分には九龍サイドのネイザンロードみたいなゴミゴミした場所のほうが合ってる。スターフェリーに乗ってチムサッチョイに帰る。運賃2.2HK$。非常に安い。これが実は結構楽しくて無駄に香港島とチムサッチョイを行ったり来たりする。ボロ船でやたら揺れるけど香港の島を眺めながらの5分くらいのクルージングはなかなか楽しい。宿に戻ってまたハイフォンロードのワンタンメン屋に行く。おっさん俺のことを覚えてたらしく何も言わなくてもワンタンメンを出してくれる。テーブルの隅っこにある赤いタレみたいのを指差し『これを少し入れると美味いよ』みたいなことを言ってる。試してみると少し入れただけなのに物凄く辛くなる。激辛ワンタンメンに悪戦苦闘してる俺を見ておっさん笑ってる。ムカつく。でもまぁこーゆーのも結構楽しい。なんとか食べ終わったあとにおっさんの写真を撮って宿へ。体調も良くなったのでビールをがぶがぶ。酔った勢いで街にでてふらふら。香港に来て数日経ったせいか既に警戒心もなくなって色んなところを見て回る。楽しい。12時くらいに宿に戻って寝る。ぐっすり眠れた。

9月6日
ウェルカムゲストハウスを出る。今度は香港島にある安宿に泊まろうかと。いつも宿のカウンターに居たお姉さんと少し話す。最後に写真を撮らせてもらって出発。チョンキンマンションは外国人が多く薄暗くて少し不気味だったけどなかなか楽しいビルだった。リュックを背負って地下鉄で香港島のコーズウェイベイにある安宿へ。カウンターには中国人のおっさん。自分と同じ様に旅をしてる外国人と話してる。それを横目に部屋が空いてるかどうか話しているとその外国人が話しかけてきて『良かったらダブルの部屋をシェアしないか』と。30前後のその外国人は特に悪そうな気配も無かったので快諾することに。一泊160HK$。少し高い。しかも部屋狭いし。よく話してみると彼はドルフィンという名前でスペイン人の医師らしい。んで中国をまわっててボランティアで病院を回ってるとか。その話を聞いて彼は絶対に良い人だ、と確信する。部屋に入って少し落ち着くと『海に行かないか』と。別段予定もあるわけではないので一緒に行くことに。セントラルからバスに乗ってディープウォーターベイへ。ドルフィンは無邪気に泳ぎまわってる。俺は写真を何枚か撮る。夕立が降ってきたので海の家みたいなところへ避難。軽い昼食をとる。何故かペンネがあったのでそれを食べる20HK$。味はまずまず。雨がやんだのを見計らって宿に戻る。結構疲れていたので二人とも昼寝することに。8時くらいに起きる。ドルフィンはまだ寝てたのでそーっと宿を出る。またフェリーに乗って行ったり来たり。香港の夜景は綺麗だ。宿に帰って寝る

9月7日
起きてみるとドルフィンは居なかった。あとから聞いた話によると病院に行っていたとのこと。少し焦った。この日はトラムを乗りまくる。行き先はどこだかわかんいのだけどまぁコーズウェイベイかセントラルには着くだろうと。二、三回乗り継いで最初に乗ったところに到着。トラムの二階から町並みを見下ろす。風も適度に入ってきて案外涼しい。結構時間かかるかな、と思ってたけど一時間もかからずに終わってしまった。残念。ビクトリアピークにも乗ろうかと思ったけれどちょうどこの日は休みだそうで。残念。非常に。セントラルをうろつきながら気が付くと夕方、一旦宿に戻ってみるとドルフィンが帰ってきていた。少し話をしたあと、何か食べに行かないか、ということになったのでネイザンロードへ。ドルフィンは香港に来てまだ二日だったので九龍方面のことをあまり知らないみたいだった。廟街をふらふら。ヤウマテイからチムサッチョイまで。そのあとフェリーでセントラルに渡りMTR(地下鉄)でコーズウェイベイに戻る。トラムを使っても良かったんだけどドルフィンは疲れた様子だったのでMTRを使うことにした。セントラルのビル群にドルフィンはだいぶはしゃいでいた。宿に帰って少しビールを飲んで寝る。

9月8日
工事の騒音で起きる。ドルフィンは騒音にひどく苛苛していたらしく、早朝工事している人のところまで駆けつけて殴りつけたそうです。そのあと警察のお世話になってひどい目にあった、とか言っていた。その間俺はずっと寝ていたのだけど。お陰でドルフィン少し元気が無い様子。
この日はマカオに行く日。その前にセントラルによって写真を撮ったりドルフィンのデジカメで動画を撮ったり。ビジネスマンが行ったり来たりしていたけどそんなん丸っきり無視で二人ではしゃぐ。楽しかった。そのあとヅォンワンまでMTRで行ってフェリーへ。エコノミークラス。狭い。しかも相変わらずエアコンは強いし。一時間かけてマカオに到着。そのあとバスでロンリープラネットに掲載されてる安宿へ。セナド広場の近く。中国っぽい雰囲気もあるもののどっかやっぱりヨーロッパ風。掲載されてた安宿が見つからなくて近くにあった安宿に泊まることに。一泊ダブルで一人当たり35パタカ(1HK$=約1パタカ)激安。だけどもエアコンもトイレもシャワーも無く。内装はトタン屋根のボロボロのアパート風。天井の色が緑色で南国っぽくて嫌いではない感じ。荷物を置いてご飯を食べることに。外に出てメシ屋を探そう、って時にドルフィンが『まわりの安宿の値段を比較してみよう』というので何軒かまわってみる。それなりに高い。ドルフィンが諦めかけた時に自分が見つけた安宿を見てみようと話しかけてみる。そーするとそこは一泊ダブルで一人当たり90パタカ。しかも天井も高く部屋も広く、トイレもシャワーもエアコンも付いてる。安い!すぐにそこに決めて35パタカの宿はキャンセルすることに。この部屋には二人とも大満足。今までの宿の中で一番質が良い。そのうえ安い。大満足したところでマカオを散策。セナド広場をうろついてみるも外観こそ欧米風だけれど実質やっぱりここは中国。この手の町並みには少しウンザリ。セナド広場を抜けて大通りに出るとリスボアに着く。さぁカジノ。いざカジノへ。ドルフィンは短パンだったため入店出来ず。仕方なく待っててもらってひとりで勝負することに。まずはスロットマシン。1回2パタカ。ガチョンガチョン回してみても当たる気配は皆無。断念。広間のほうに行ってみるとBJやらルーレットやらバカラやら。そこで発見。深夜特急に出てきた大小。犀を振って出目の大小を予想するゲーム。1回100パタカの台を選んでいざ勝負。人込みを掻き分けて大やら小やらに賭けていく。五回やって五回とも当たりを引く。犀を振ってそれが公表され、お金の分配が終わったあとに1分強次の出目を予測する時間が与えられる。みんな残り20秒になるくらいまで粘る。前回が大だったので今回も大かもしれない、と予想する人が多く、大体の人が大に賭ける。そこで俺は小に賭けてみる。根拠なんかなんも無いけれど自分の直感を信じるしかない。小にかけたのは俺のみ。犀が振られ出目をみんなが見つめる。結果は小。俺の一人勝ち。なんだこれ。なんだこの優越感。俺が賭けた100パタカは200になり300になり500にまで膨れ上がった。もし仮に当たった額を全て賭けていたとしたら100→200→400→800→1600!パタカにもなっていたことになる。HK$とレートはほぼ同じだからざっと計算して23000円弱。惜しいことをした。まぁ1500円が7000円になっただけでも喜べることなのだけども。ドルフィンを待たしていたのも合って1時間くらいで切り上げる。結局勝ち逃げ。もしドルフィンを待たせてなかったら俺はあのままカジノに居続けたに違いない。場合によっては明日のマカオ-香港国際空港行きのフェリーに乗れなかったかもしれない。怖いことだ。
カジノを出たあとは観光客向けの人力車に乗って埠頭へ。その埠頭にはデカい観音様で居てライトアップされている。夜の海の風が気持ち良い。マカオタイパ島を結ぶ橋は綺麗な作りで気持ち良い具合に歪んでる。それもライトアップされていて凄く綺麗だ。ベンチに座ってドルフィンとビールを飲みながら家族のこととかこれからのこととかを話す。出会った初日はテンパってうまく話せなかったけれど、今となっては簡単な会話は勿論、くだらない話すら出来るようになっている自分に驚く。ドルフィン曰く『カタ(俺の愛称はタカ、と教えたのになかなかそう呼んでくれず、間違えてカタと呼ぶことが多い)の英語は3日間でびっくりするぐらい上手くなったよ』だと。まともに会話出来ているんだ、自分でもそう思った。案外なるようになるものだね。一時間くらいその埠頭で過ごす。すごく良い場所。マカオに行ったら是非行って欲しいなーと勧めたいほど。カジノでの勝利と綺麗な景色を見れたお陰でマカオがすごい好きになる。明日日本に帰ってしまうのが少し嫌になる。
宿に帰ってから一人で宿周辺をうろうろ。出店で餃子を発見。香港マカオ9日間の旅で初めて餃子を発見。5HK$。思わず買ってしまう。美味い。宿に帰って間も無く寝る。

9月9日
日本に帰る準備。ドルフィンは俺に合わせて起きてくれて別れの挨拶と抱擁。ウルルン滞在記の最終日みたいだ。別れはやっぱり少し寂しくなるものですね。10時マカオ発のフェリーに乗る。昨日の勝ち金でフェリーはファーストクラスをチョイス。早い便だったせいか席はガラガラ。船内食?で朝食を取る。少しリッチな気分。空港に着いてまた免税煙草を購入。110HK$。激安。飛行機の中ではゴッドファーザーを見ました。ビールやらワインやらをがぶ飲み。ふらふらになりながら19時に関空に到着。香港一人旅終了。早かったような長かったような。


思い返してみるとまるきり深夜特急と同じ様なことをしているなと。実体験を元に少し脚色を加えた小説だけれど結構忠実に再現してしまったんじゃないかと。ただ沢木さんが実際行った時より、たぶん香港の魅力は若干薄れているんだろうなと思った。とは言えネイザンロードや廟街の熱気やリスボアの大小の面白さは依然残っていたと言えると思う。もー行く機会は無いのかしらねーと考えると、少し後悔する面も幾つかあるけれどこれもまた旅行の楽しさのひとつなんでしょうね。来年はバンコクシンガポールあたりに行ってみたいと考えてます。これも深夜特急のパクリですが。