壊れた間接照明
- 作者: 魚喃キリコ
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 1997/08
- メディア: 単行本
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この照明のさいごのひとつが壊れてしまったら、自分はこれを捨てるのかなぁ。
捨てられないなぁ。捨てられないだろなぁ。
痛々しいラヴを読んでいて、彼氏彼女がたくあんを買って帰るのを見て、その彼氏に恋する女の子は『付け入る隙間がないや』と確信した、てなシーンがあった。それと似たような感じ。今となってはそんな生活感は当たり前で、なんの満足も無い。だけどあの頃はこんな行為にもドキドキしていたんだ。ってなわけで思い出したのです。
今の状況にそれが無いわけではなくて、それを感じられる程の余裕が無いんだと思う。当時にまつわるものが色々とフィードバックしてきて、情報記憶等等、ひどく懐かしく思ってしまう。ここには確実にないもの。今昔的な時間軸ではなく、時間の消費の仕方、行動力、そして目的。全てが今ここに無い。未知よりも既知が多いような錯覚。今よりもひどい諦観の念。
ああもう、海に行きたい。帰省するたび行こうとするのだけど、朝が遅いせいかなかなか行けない。海ならどこでもいいわけではないのだ。少し曇った湘南だったり、世界の終わりのような夕焼けが見えた金谷港の海だったり。自分の生活環境に基づいた海じゃなきゃ嫌なのだ。