雨が降る 虹が立つ

蟲師の話

蟲師 (通常版) [DVD]

ヌイが汚された感じがする。

観賞がまだ甘い所為なのかもしれないけれど、とりあえず僕は『アニメ⇒漫画』と世界に入っていて、アニメの忠実すぎる世界に心底惚れていたのだ。というと順序が逆だけれども、漫画の蟲師はかなり前から知ってはいたけれど、最初字が多すぎるのと、読むタイミング（自分の世界観に因る）を誤ってしまったので、あんまり読んではいなかった。が、アニメの蟲師はとても見易く、興味をそそられるものだった。展開も演出も音楽も良かった。ので原点に戻って漫画を読んで、やっと理解が出来、漫画も好きになったのだ。だから映画にもその忠実性を求めてしまっていた。
結果として、映画、としては面白いものに成ったのかもしれないけれど、『蟲師』としてはどうにも合点のいかない作りに仕上がってしまったような気がする。キャストは充分。魅力に溢れる人たちばかり。見る前はオムニバスっぽく話が展開するのかと思った。そのほうが忠実だし。だけど妙に絡め過ぎて、結局僕の好きな蟲師の世界は無くなってしまった。探幽も虹郎もヌイもギンコも、なんだか汚されてしまった感じがする。超絶蟲師フリークってわけではないけれど、腹立たしいとさえ思ってしまった。残念だ。観に行かなくて良かった。
ただ、りんたろうが出演してたのには少しワロタ。

蟲と人との関わり、てのが重要で、そこに焦点を当てた筈なんだけども、どうにもそのように世界は構築されていなかったのが最大の問題なのかも。短い時間のなかでそれを表現するのも難しいのかもしれないけれど。見る人によってはただの怖い映画にしかならないのかもしれない。あとディジュリドゥの音多過ぎ。逆に安っぽく聞こえてしまう。

の続き。大森南朋の話。

初めて知ったのはヴァイブレータだったか。そのほかにもアイデン＆ティティなんかにも出てたり、ちょい役が多かった彼。蟲師では虹郎を演じたわけだけど、僕の考えるそれではなくて少し残念だった。けどもやはり彼は好きだ。『ハゲタカ』の主演は柴田恭平、というよりも彼だったと僕は思う。当初の予定とは違ったみたいだけれど、結局役柄はお互いにマッチしていた気がする。んでもってコマまわしと演出が素敵過ぎるんです。
話としても、ドラマとしても、んでその質としてもハゲタカは非常に高レヴェルだと僕は思います。
大森氏の、目以外の表情で物事を語るあのスタンスは、もう、たまらんのです。