秋の匂いが蔓延している。キンモクセイ、と差し込む冷たい風の匂い。足が重くなる。が、久しぶりに霜を踏む様にザクザクと記憶を蒸し返しているような気がする。記憶と記録が空転しているような錯覚。なんだか細々したもの全部が金属の破片のような気がして、それに抗う様に前しか見ないで前進していたなぁなんて思いながら、愚かだ、と結論付けたり、なにくそ、とその勢いを賞賛したりで。どちらにもいえるのが、この季節を特別視し過ぎているなぁと。はたしてこの空気は自分にとって心地のいいものなのか。それとも記憶の墓場だからだけなのか。